南半球に住むと、12月は夏の始まり。ぼちぼちフェイジョアの花が咲き始める。
私の住むニュージーランド、クライストチャーチは朝晩まだ寒い日もあるけれど、日中の日差しはもう完全に夏。先日市内の駐車場で、フェイジョアの花を見つけたよ。
さて、このフェイジョア。ニュージーランドでは個人のお庭でも、スーパーマーケットの果物コーナーでも、定番と言っても過言ではない。なんとなくニュージーランド原産かと思っていたら、実際は南米のパラグアイやブラジル南部が原産国だった!!調べると、ニュージーランドにこのフェイジョアが入ってきたのは1891年。日本だと明治24年。これだけの歴史があるからこそ、この国では定番のフルーツなんだろうなあって納得。日本は昭和初期とされているけど、私が日本の造園会社に勤め始めた2000年初頭、そんなに庭木としてはめちゃメジャーではなかった。でも数年でオリーブみたいなシルバーリーフの常緑で、大きくなりすぎないって性質から、人気になったって記憶がある。だから実際に庭木として流通が多くなったのはここ20年くらいなんじゃないかしら??
ただ、日本ではフェイジョの細かい品種までオーダーする事ってまずなかった。こちらでは果樹を提案する時は細かい品種まで提案する。これはフェイジョアに限らず他の果樹も然り。もしくは施主が品種を選ぶ場合もある。品種選びはとても大切。フェイジョアの場合は1本で実のなる品種、なりにくい品種がある。お恥ずかしながら、こちらに来るまで詳しく知らなかった。
フェイジョアの品種
ニュージーランドでフェイジョアの収穫は3〜6月。つまりこちらの季節で秋。品種によって少しずつ収穫時期や花の咲く時期がずれる。たくさん種類があるけれど、こちらで代表的な品種をいくつか紹介。
Kaiteri(カイテリ):成長が早く大きな実をつけるのが特徴。自家受粉しないので、違う品種との受粉が必要。直立性で高さ4m程に成長する。
Unique(ユニーク):早生品種。若木のうちから比較的実をつけやすい。実の大きさは中サイズ。果肉柔らかく風味が良い。自家受粉ができるので、これ1本で受粉可能。庭にスペースが限られる時は、これを1本植えるのがおすすめ。
Anatoki(アナトキ):早生品種。比較的新しい品種の1つ。他のフェイジョに比べて深く濃い緑色の葉を持ち樹高は3m程。実は甘く丸い。
Apollo(アポロ):中〜晩生種。果実も中〜大型で皮が薄く風味が良いが傷つきやすい。半自家受粉とされているので、1本でも多少実がつくがやはりもう1本別品種があった方が良い。樹高3m。
Banbina(バンビーナ):矮性種なので、コンパクトに育てられ鉢植えなどにも向く。樹高は1.5m程度。実は小さいが甘くてジューシー、皮も薄いので皮ごと実を食べられる。これ1本で受粉可能な品種とは言われるが、できれば別品種を受粉した方がたくさんの実がなりやすい。
Triumph(トライアンフ):晩生種。皮は硬いが果肉はジューシーで中〜大型の実をつける。これ1本では実がならないので、別品種を植える必要がある。Mammoth(マンモス)との相性が良いとされている。樹高3m。
Mammoth(マンモス):果実は大きくとてもジューシーで甘く、柔らかく美味しい実がなるので人気の品種。生育旺盛で3m程の大きなブッシュ状になるので、生垣や目隠しとしてもおすすめ。中〜晩生品種。別品種の受粉が必要。
Wiki Tu(ウィキトゥ):矮性種で受講2.5m程の中〜晩生種。成長はゆっくりで、果実は樹高があまり大きくないのに対して大きな実をつけるのも特徴。コンテナから庭植えまで楽しめる。自家受粉するとも言われているが、できれば別品種があった方がたくさんの実がなりやすい。
フェイジョアって本当に美味しい!
日本にいる時は、正直フェイジョアの実ってあんまり美味しいって思えなかった、、、。でもこっちで熟した甘い実を食べたら、びっくり!すごい美味しかった。なんだろう?多分今までしっかり熟した果実を食べたことがなかったのかもしれない。味の表現が難しいフルーツなんだけど、ほのかな酸味と甘さ、さっぱりとしているけど濃厚な芳香があるって感じかな。で、独特のピリッとしたテイストがある。別名パイナップル グアバと呼ばれているけど、確かにそれらを足して2で割ったかんじ!!
こちらでは季節になると、なりすぎたフェイジョアのお裾分けが結構ある。日本で言うと柿みたいな?生のままスプーンですくって食べても美味しいし、ジャムやパイのフィリングとしても良く食べられている。ジュースやお酒のフレーバーとしても一般的で、フェイジョタイザーやフェイジョアワイン、フェイジョアフィズ、フェイジョアジン、フェイジョアジュース、フェイジョアスムージーなど色々ある。
ちなみに、こちらの言い方だとフェジョア(ジョを強く発音)と言った方が通じるかな。